胸膜肺実質線維弾性症/上葉優位型肺線維症(PPFE)について
特発性胸膜肺実質線維弾性症(idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis: IPPFE)は、上肺野優位の線維化と弾性線維の増生を特徴とする原因不明の肺疾患です。福岡大学筑紫病院呼吸器内科では、本症の診療と研究活動を行っています。厚労省難治性疾患等政策研究事業びまん性肺疾患に関する調査研究班「PPFE部会」を担当しており、10年以上にわたり研究成果を報告してまいりました。
1.PPFE(pleuroparenchymal fibroelastosis)とは?
日本呼吸器学会のホームページ内にある「呼吸器の病気:間質性肺疾患」に記載させていただきましたので、まずはこちらをご覧ください。IPPFEは稀な疾患とされていましたが、最近の調査では少なくとも国内に5,000名以上おられると考えられます(石井寛ほか.日本呼吸器学会誌 15(2) 25-076, 2026)。
2. 診断について
健康診断の胸部レントゲン写真では、両肺尖部の胸膜肥厚や陳旧性炎症性変化として指摘されながらも、経時的な変化が軽度で(下図)、精密検査に回らないこともあります。そのため、体重減少や息切れなどの症状が出現してきた時点では、すでに病状が進行していることが多いです。なおIPPFEは指定難病「特発性間質性肺炎」の一病型で、侵襲的な検査を必要とせずに臨床診断できる場合が少なくありません。
3. 治療・予後について
現時点で根本的に治す薬はありません。進行を遅らせる薬(抗線維化薬)が一部の患者さんに使われることがありますが、効果は十分とは言えません。若い患者さんでは肺移植が検討されることもあります。安静時の酸素は比較的保たれますが、進むと呼吸が浅くなり、二酸化炭素が体にたまりやすくなります。体重管理や栄養サポートがとても大切です。また、肺が弱っているため感染症や気胸が起こりやすく、注意が必要です。 経過は人によって異なり、10年以上かけてゆっくり進む方もいれば、数年で呼吸不全に至る方もいます。体重減少、両肺下葉の線維化、気胸の合併は予後に影響します。
下図のように、いまだ多くの課題を抱えた疾患であり、新規治療に向けた今後の基礎研究が望まれます。
4. 文献
40編超の英文論文を世界に向けて発信してまいりました。
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これまでのまとめ:Idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis: diagnosis and management (2025)
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心電図変化:Rightward shift of the QRS axis in idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis (2026)
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CO2分圧の上昇:Partial pressure of carbon dioxide levels reflect disease severity in idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis (2023)
5. 講演
早期発見のため、呼吸器科医以外に対しても、より啓発が必要な疾病と考えています。
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「胸膜肺実質線維弾性症/上葉優位型肺線維症 ―見逃さないための診断のポイントと最新知見」HOKURIKU ILD Seminar for Freshers, 2026.
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「特発性胸膜肺実質線維弾性症/上葉優位型肺線維症 ― 見逃されやすい疾患をどう診るか」Meet the Expert in Kyushu, 2026.
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「上葉優位型肺線維症(PPFE):診療の現状と今後の課題」第95回日本呼吸器学会九州支部秋季学術講演会, 2025.
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「特発性PPFEに対する個別化医療の方向性」第92回日本呼吸器学会九州支部春季学術講演会, 2024.
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「進行性肺線維症のマネージメント:PPFEを含めて」第91回日本呼吸器学会九州支部秋季学術講演会, 2023.
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「上葉に優位な肺線維症への挑戦」城南呼吸器疾患講演会(東京都)2022.
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「PPFE, overview: 臨床の立場から」第15回若手のためのびまん性肺疾患勉強会, 2021.
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「特発性肺線維症と周辺疾患:PPFEを中心に」第14回久留米間質性肺疾患研究会, 2020.
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「PPFE: Up to Date ~IPFとの対比~」第3回 長崎呼吸器疾患研究会, 2019.
★診療相談は主治医の先生を通してお願いいたします。セカンドオピニオンもお受けしております。

